Kindle Unlimited読み放題ストアで「フランス書院」で検索して出てきたものを片っ端から読んでいるわけですが、『姉妹獄 セーラー服解剖教室』に続いて表示される『人妻と痴漢集団』は続編っぽいのでひとまずスルー。なんなら「人気」タグがついているものは後回しにしてその次から、――ということで本作を手に取ってみました。あらすじはタイトルにもある通り、”故郷の若未亡人”と”幼なじみの姉妹”がUターンしてきた主人公のボーイを取り合って、あんなこともこんなこともしちゃってムフフ、という筋立てなのですが、一休みする暇もなく代わる代わる女性を取り替えて官能シーンが繰り出される展開は飽きさせません。Uターンしてきたボーイが、かつての憧れだった未亡人や幼馴染みの姉妹と良いことをしまくりながら、それを地方の町おこしにも繋げていく幕引きのうまさなどに、ほんの少しだけ社会派フレーバーが入っているのかナ、……とも感じた次第で、読後感は非常に心地よいです。
最初に憧れだった未亡人と邂逅するやいきなり手淫でご奉仕というプレイを披露する展開など、とにかく読者をじらすことなく官能シーンへとなだれ込んでいくうまさはさすが黒本、というべき構成で見せてくれます。旦那を失って悶々としている未亡人がすかさず手コキをしてあげたのも、「逆らうより手で始末してやるのだよ。精を放った男は優しくなる。操を奪おうとしなくなる」、――という姑からの指南であったことが後で明かされるなど、田舎の風俗などをしっかりと盛り込んで、物語の背景を明かしていく趣向が秀逸です。このあたりはちょっと花房観音を想起させる巧みさで、官能シーンをもう少し抑制して、登場人物たちの背景をもっと掘り下げていけば、彼女のような一般小説でも十分にイケるのではないかとさえ感じられます。本筋とは関係ないのですが、この姑の提言は、つい先日読了した『姉妹獄 セーラー服解剖教室』で主人公が口にしていたハードボイルドな名言「男っていうのはね、勃起してる時は凶暴だが、出したら急に優しくなる生き物なのさ」を想起させます。
未亡人といい関係になるや、すぐさま姉妹の妹がずーっと彼が帰ってくるのを待って操を守っていたんだヨ、と告白し、そこから間髪をいれずに官能シーンへとなだれ込んでいく周到ぶりは完全に男のファンタジー。あんなこといいなできたらいいな、という男の疚しい夢想をしっかりと体現させつつ、続いては姉との逸話で見せてくれるのですが、ここでは主人公のボーイが子供時代に二人でコッソリやっていたお医者さんごっこを再現するシーンが素晴らしい。内気な妹に、Sっ気のある姉という定番の対照を添えて、ボーイは様々な行為に及ぶのですが、ちょっと意外だったのが、この姉妹の隠された隠微な関係でした。これが後々の複合、3Pプレイへと爆発を見せるのですが、このダブルの若さに対抗して、ボーイをとられまいと未亡人はいかなるプレイに活路を見出すのか、――このあたりは是非とも本書にあたって確認していただきたいと思うのですが、未亡人という設定ならではの、仏壇を前にしてエロいことをおっ始めつつも、恥じらいに濡れる未亡人の淑やかさと淫蕩さの重なりがまた美しい。姉妹とのプレイでもそうですが、Uターン男子という背景から必然的に派生する、「過去」と「現在」との対比と回想が、本作に描かれる見せ場に甘い官能を添えている趣向に注目でしょう。
最後はハーレムでメデタシ目出度しという爽快さに、地方の町おこし的な興趣も添えて、明るくも淫らな未来を予感させるエピローグも期待通り。官能シーンやその描写に奇異なところはない、これまた王道を行くプレーンな一冊ゆえ、どんな官能小説ファンでも愉しめるのではないでしょうか。オススメでしょう。
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姉妹獄 セーラー服解剖教室 / 神子 清光