以前に『おさない疼き 美少女たちの秘密基地』を読んだことのある作者の一冊。ロリものには正直マッタク食指は動かないのですが、それでも『おさない疼き』は直球のロリものでありながら犯罪臭などは皆無で、さらに主人公の爽快さとも相まって溌剌とした雰囲気に溢れた良作だったと記憶しています。さて、では本作はどうかというと、――主人公が暗鬱なロリコンなどではまったくなく、しっかりした仕事に就いている好青年であるところも期待通り。アマゾンの感想では結構辛いコメントがついていますが、個人的にはかなり愉しめました。
物語は、祖父がワインで大儲けしたという坊っちゃん青年が管理している洋館に不法侵入をはかった美少女たち。主人公の青年は彼女たちと仲良くなって、――という話。内容紹介には「オーナーである青年は彼女たちと無邪気に戯れるが、徐々にお互いの好奇心が剥き出しとなり……」とか「やがて拓斗の欲望と少女たちの好奇心が衝突し、戯れは徐々にエスカレートしていき…」などといった、悪い事態に発展するような予感を孕んだ惹句が並んでおりますが、『おさない疼き』と同様、主人公と美少女たちとの爽やかな関係は最後までしっかりと持続したまま物語は良い雰囲気で終わります。
今回はヒロインたちの多さがアマゾンのコメントでも槍玉にあげられているようですが、個人的にはそれほど気になりませんでした。もっとも主人公が全員の処女を食ってしまうという性急な展開にはちょっと口アングリとなったものの、序盤から積極的に迫ってきた女の子よりも後半戦に挑んだ娘っ子の方が好奇心旺盛だったりというふうに、その順番にも官能を盛り上げる必然が感じられます。プールでの乱痴気騒ぎがクライマックスに用意されているのですが、これだけのヒロインが揃えば最後は全員でわいわいとエッチなことを愉しむのは必然で、物語の展開構成そのものに新奇さはありません。悪く言えば予定調和的に終わるわけですが、性に旺盛な女の子たちがあの手この手で主人公へと迫り、それをあっさりと受け入れて彼女たちの処女を頂戴してしまう流れは、ロリコンものというよりはハーレムものの趣向に近く、肛姦も交えて描かれる官能など、浮き世のロリコンもの離れした作風は、ハーレムものとして読んでも愉しめるような気がしました。
また作者ならではの幼いヒロインが「んふ」と微笑する可愛らしさにはなかなかぐっとするものがあり、ことに昨日読了した『人妻と少年 魔悦の肛姦契約』が、「ウヒッ」「ダメヨ」「イヤヨッ」と珍妙なカタカナで熟女の喘ぎ声を活写した昭和劇画な一冊だったゆえ、本作の爽やかさにほっと一息つけた次第です。とにかくこの作者の流麗な文体は非常に読みやすく、個人的にはかなり好み。コッテリした熟女ものにやや胸焼けが過ぎたときなど、一服の清涼剤を口にするつもりで手に取ってみるのをオススメしたい一冊といえるのではないでしょうか。
[関連記事]
おさない疼き 美少女たちの秘密基地 / 浦路 直彦