たまにはマドンナメイトの本をキチンと購入しないとなァ。最近はKindle Unlimitedで読み放題の本ばかりだし、……というわけで、検索中眼にとまった本作を読了。作者の本を読むのは初めてですが、うーん、……確かに官能描写がしっかりと凝らされた作風ではあるものの、一般小説、それも復讐譚としての趣が色濃く、このあたりは人を選ぶかも知れません。
物語は、学生時代にラブレターを出して見事にフラれたことがトラウマとなっている男が主人公。食堂で安飯をくらっていると偶然テレビに映し出された女子アナがかつて自分をふった女であったことを知るや、男は彼女をると復讐を誓うのだが、――という話。
ラブレターを出してフラれたと上には書きましたが、これは物語の冒頭で男が告白していることでありまして、実はもう少し話が込み入っています。ヒロインに出したラブレターを校内で晒された挙げ句、偶然ヒロインと同じ電車に乗り合わせた彼は勃起してしまい、それを痴漢に間違われてしまう。そこからは何をやっても駄目で、――というのが男の言い訳なのですが、ちょっといいがかりにも近いような気がしないでもないような……。そのあたりは男の言い分をひとまず受け入れて読み進めていくと、彼はいきなりテレビ局へ向かい、ふと見かけた新人アナをロックオン。彼女を家まで尾行して、こっそり自慰をしている現場を盗撮することに成功、それをネタに新人アナを強請って、本丸である彼女の弱味を見つけるように指示を出すのだが……。
新人アナの自慰盗撮からの展開がかなり強引で、この新人アナもまたアッサリと彼の軍門に降って快楽を受け入れてしまうあたりのご都合主義がアレながら、いよいよ件のヒロインに復讐を果たして、これからは二人の女子アナを奴隷にして俺の人生ウハウハ、なんて買い込んだ大人の玩具と戯れていると、トンデモない因果応報が待ち構えていて、……というラストは、主人公と同化して女子アナを手込めにしている自分を妄想していた読者に対してはアンマリな仕打ちで、昂ぶった気持ちも完全にクールダウン。一般小説として読めば、この主人公の復讐に捧げる動機は、痴漢冤罪を絡めたとしても理不尽に過ぎるし、まあ、仕方がないのかなァ、と溜息をつきつつも、この結末はチと残念。もっともこうした感想は、最近黒本の陵辱ものを読みあさっていたゆえかもしれませんが(爆)。
とはいえ、女子アナ二人を交えた官能描写は破綻のない仕上がりゆえ、マドンナメイトに黒本にはない異端を求める自分のごとき好事家にはアレですが、ごくごくノーマルの、刺激が少ない官能小説をご所望の方にはなかなか愉しめる一冊といえるのではないでしょうか。