この本、正直に告白すると、読み始める直前まで、「ふたご巨乳ナース」ではなくて、”ふたなり”巨乳ナースと勘違いしておりました(爆)。蠱惑的な男の娘がナースの格好であんなこともこんなことも、……なんて話を妄想していたのですが、話はまったく異なり、魅力的な義母に反抗的な僕チンが事故を起こし、入院した父の病院で叔母に性の手ほどきを受けて覚醒、その後、義母と叔母を相手に、……という話。
誘惑系ながら、美女二人の双子だからこその微妙な心理にも分け入り、官能を盛り上げていく中盤の展開がかなり好みで、なかなか愉しめました。また双子だからこその主人公を欺してエッチなことを仕掛けて童貞まで奪ってしまう展開はちょっとトリッキーな展開でこれまた秀逸ながら、ここへ反抗的な態度をとり続けていた主人公の心を解きほぐすセラピーを添えて、その後に続く義母との濃密な性描写へと繋げていく動機付けなど、登場人物達の心理に配慮した構成もなかなかのもの。
もっともこうした小説的な構成が素晴らしい一方、官能描写にはついては極力ノーマルに徹しており、もちろん最後には読者が期待するであろう、タイトル通りに「僕と義母と叔母と」一緒に組んずほぐれつの官能シーンにはかなりのページをさいて濃密に描かれているものの、それほどエグい描写はありません。中盤、病院という地の利を活かした分娩台でのプレイという飛び道具こそ用意されているとはいえ、ここは誘惑系に徹した描写に留めて少しでも無理筋な要求はナッシング。もっとも主人公も事故で満身創痍の上、童貞を卒業したばかりという身なりでありますから、無理な体位もとれないゆえ仕方が無いことではあるのですが……。
やはり読んでいる間も、この「ふたご」が「ふたなり」だったら、――と妙なことを妄想してしまう自分には呆れるしかなく(爆)、男の娘ものの恥辱プレイの一つでも没問題なので、小金井響氏あたりが書いてくれないかなァ、……なんて考えてしまうのでありました。
最近手に取ってみたマドンナメイトがことごとくノーマルに振り切った作風だったゆえ、次はやはりマドンナメイトならではの「異形の」物語をと思いながらも、ざっと探してみた限りなかなかこれといったものが見つかりません。むしろ足利武志氏が昭和チックな脱力のユーモアセンスを持ち合わせていたことに驚いてみたり、倉田稼頭鬼氏が思いのほか、純愛にフォーカスした官能小説らしからぬ文学的素養を感じさせる傑作をものにしていたりと、黒本の方に面白い発見があったりして、Reader™ Storeにおけるマドンナメイト本全読破の目標がチと揺らいでしまいそうという……(苦笑)。次回はもう少し古い作品にまで遡って面白そうなものを探してみたいと思います。