『巨乳秘書 鬼畜の洗脳研修』がとてもヨカッタので、「催眠」がタイトルに入っているこちらを購入。
内容はというと、マッドサイエンティストが発明した催眠マシーンによって悪ガキと校長が結託して、武道にも秀でた美姉妹を肉奴隷にしてしまおう、――という話。『巨乳秘書 鬼畜の洗脳研修』が昭和チックな日本の中小企業を舞台にしたリアリズムにポップさを交えた作風だったのと同様、本作でも、悪ガキたちの悪辣さに悲壮さは薄く、催眠によって美姉妹に演じさせる痴態も珍妙な味があってなかなか面白いのですが、催眠マシーンの使い方は今一つ物足りない。確かに催眠という施術を抜きにすべてをマシーンですませてしまえるのであればそれは確かにお手軽ではあるものの、施術によって催眠状態へと移行する美女の様態をじっくりネッチリと描けないという副作用があり、このあたりが催眠マニアにとってはかなり好みの分かれるところかもしれません。実際アマゾンで本作のレビューを見てみると自分と同様、催眠ものに一家言を持つマニアの方々の評価はなかなかに厳しく、催眠マシーンの導入についてはもう少しうまく使えなかったのか、という意見もあるようです。
とはいえ、記憶の改竄を自由に行えるという設定をほしいままに美姉妹を好きなようにいじくりまわす展開は面白く、また物語の進行にあわせて二人の催眠状態が深くなっていくにつれて記憶の混濁に戸惑う美女の内面描写も特に後半部ではじっくりと描かれているのですが、こうした心の綾を前半部からマックスでもう少しネチっこく描いてくれた方が催眠マニアの琴線に触れる傑作になりえたのではないかナ、という気がします。また姉妹ものという点で美姉妹の二人に心理描写が分かれてしまい、そのあたりもヒロインを一人に絞りその心の襞をつぶさに描いて読者の官能へと訴えかけてみせた『巨乳秘書 鬼畜の洗脳研修』に比較するとやや物足りないところではありますが、最後の最期、ヒロインが二穴を責められながら高らかに肉奴隷宣言をキメてみせるクライマックスは素晴らしいの一言。『巨乳秘書 鬼畜の洗脳研修』では官能小説らしい交合シーンがむしろ失速に感じられたのに対して、こちらはむしろノーマル嗜好の読者を射程に据えたものと考えれば、この趣向と構成にも納得、でしょうか。
ガチの催眠マニアであれば色々と細部に注文をつけたくなる一冊ながら、催眠テイストを交えた官能小説と考えればなかなかよく出来た佳作といえるのではないでしょうか。